「棋譜を覚えようとしているのは、プロの棋士が、なぜ、AIに負けてしまうのかとか、どうすればAIに勝てるのかということが長いこと気になっていたためです。」

「なぜ、プロの棋士はAIに負けてしまうのですか」と町会長。

「僕の研究では、囲碁において最も重要なのは、パターン認識です。特に、手筋と呼ばれるパターンが重要です。」

「『手筋』と言いますと?」と町会長。

「石の配置が特定のパターンになったとき、特定の打ち方をすると、局面が急変するのですが、その特殊な打ち方を手筋と言います。」

「僕の頭では、理解できそうもありません」と町会長。

「詰碁は手筋を身につける訓練の1つです。」

「詰碁は、問題に応じた特定の打ち方を発見できないと解けないということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「特定の打ち方を発見できれば、相手の石が死んで、局面が大きく変わることになるのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。AIの強さは、手筋というパターンを、絶対に、見逃さないというところからきています。」

「なるほど」と町会長。

「コンピューターは、パターン認識ができなかったので、パターン認識ができるように研究してできたのがAIです。」

「それでは、AIは局面が大きく変化する手筋のパターンを見逃さないのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。僕のようなアマチュアは、手筋のパターンに気がつかないことが多いのですが、プロ棋士は滅多に見逃しません。 しかし、AIは絶対に見逃さないのです。」

「それで、プロ棋士はAIに勝てないのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。僕も詰碁を5000問、延べ100,000問くらいはやっているので、多少、手筋が身についてきています。」

「それで、AIが打った棋譜を並べて、渡辺さんが知らない手筋がどのくらいあるか調べようとしているのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。調べるだけでなく、300局ほど丸暗記したら、どのくらいレベルが上がるか効果測定をしてみようと思っています。」

「AIが打った棋譜を並べて丸暗記すれば、手筋が身について強くなるということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。江戸時代の棋士で、本因坊秀策という有名な棋士がいるのですが、本因坊秀策の棋譜を並べると囲碁の段が上がると言われていて、ウィキペディアの『本因坊秀策』に、『韓国の李昌鎬も若い頃から秀策の棋譜を熱心に並べ「私は一生かけても秀策先生には及ばないだろう」と語っている』と書かれています。」

「『李昌鎬』と言いますと?」と町会長。

「ウィキペディアの『李昌鎬』に『李昌鎬(イ・チャンホ)は、韓国の囲碁棋士。全羅北道全州市出身、韓国棋院所属、曺薫鉉門下、九段。わずか16歳で世界戦優勝。その後世界歴代1位の世界棋戦優勝21回、国内棋戦優勝140回を数え、1990年代から2000年代の世界最強棋士と称される』という説明があります。」

2021/8/10

<それじゃあどうする21>
翌朝、恐る恐る牛肉コロッケを食べてみた。左上の奥歯には食べ物が詰まらなくなった。違和感もない。不思議なことに、右下の歯も問題なく使えるようなのだ。2,3日様子を見ながら使ってみたが、接着剤は使っていないのに歯はしっかりついたままだ。

見栄えも、息子が感心するくらいよくできたようだ。あまりに不思議なので鏡で見てみたが、確かに、話をしているくらいの口の開け方では、何の違和感も感じられない。歯医者さんに行った時のように口を大きく開けると、2本の奥歯に続いて手前に奥歯より大きな歯が見えるが、それほど違和感は感じない。あまりの出来栄えに驚くばかりだった。<続く>

2024/7/24